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「・・・それ、は、彼女は知っているんですか?」
告げられた真実の容赦のなさにクラクラしそうだ。
一方、院長は先程の表情などどこ吹く風で溜め息を吐く。
「知ってるわ。あの子には、全てを話した上で協力を頼んであるから」
「協力?」
「そう。太陽の傍にいて欲しい、ってね」
「・・・それは、太陽が死ぬまで?」
「いいえ。あの子の滞在中は。
まぁ、太陽を一人で死なせたくない、っていう気持ちはあるけどね」
憂い気にそう言った院長の息子、静流君は確か太陽と同じくらいの歳のはずだ。
確かに、いつも淡々と理屈で物事を割りきるこの人が動く理由としては十分か。
加えて、院長の姪の友人・・・。
「ラッキーな子ですね」
思わず結論を口にすると、皮肉めいた笑いを向けられる。
「本人にしてみれば、そうなんでしょうね」
ーその笑みの真実を私が知るのは、三年後になる。
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