Diva solare

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「そうだ。それから、午後にお客様がくるから、お茶の準備をお願いできるかしら」 「?ああ、はい」  今日の午後は、特に会議や出張は入っていなかったはずだ。  それを頭の中で確認して院長の言葉に頷く。 「ちなみに、どなたでしょう」 「ボストン医科大学で肺機能の研究をしている人よ」 「承知しました」 「でもって、日生の兄」  そのまま頭を下げて部屋を出ようとすると、新しくもたらされた情報がそれをひき止める。 「え」  固まった表情で院長を見ると、彼女は何でもないことのように笑った。 「そういうことだから、ヨロシクね」  ・・・  愉快そうにそう言う院長にもう一度頭を下げて、私は秘書室へと続く扉を開けた。  
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