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「失礼します」
その声と共に扉が開いたのは昼食を食べ、午後の打ち合わせを始めようとした時だった。
「来たわね」
彼の容貌を見て二人を見比べる私に構わず、院長は落ち着きを払った声で応待する。
「え・・・っと、院長?」
そう言って目を白黒させている私を見て、彼は居心地悪そうに肩を竦めた。
「ああ、貴女が『槙サン』?」
そう言って、彼は手を差し出す。
「いつも、うちの妹がお世話になってマス。日生の兄の『高雫森(しん)』デス。ドーゾヨロシク」
「因みに、うちの主人と二人の父親は双子だから」
「・・・はぁ」
そう言われても、困る。未だ現実味のないまま、私は静流君そっくりの彼と握手を交わした。
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