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「そんなことを言っても、仕方ないでしょう?
だいたい、あの子が自分で選んだんだから、外野の私達が口を出せるはずないじゃない」
どんなに幼かろうと、その人がどんな人間であろうと、理屈が通った意見ならその人を『個』として認め、その意見を採用する。
院長はそういう人だ。
そんなことは嫌という程分かっているのか、彼は押し黙る。
「叔母さんは卑怯だ」
・・・
「俺の、日生への愛をそんな言葉で切り捨てるなんて」
「『愛』ねぇ」
もはや負け惜しみともとれる言葉を吐き出す彼を、院長は鼻で笑った。
「そんなのは、エゴでしかないといい加減気づきなさい。そんな調子じゃあ、その『愛』とやらが貴方の罪悪感を誤魔化す手段でしかないと、あの子に悟られるわよ」
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