Diva solare

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*** 「え。日生のСтарший брат(兄貴)?」 「は?」 「・・・あー、悪い。Brother」  ああ、そういう意味ね  ロシア語の分からない私は、時々彼の口から出てくる単語が理解できない。  しかし、聞き返すと大抵彼は英語で翻訳してくれるので、不自由はなかった。  今回も、それに倣って頷く。 「そう。森君って言うんだけどね。こっちが呆れるほどにシスコンなのよ」 「スコン・・・?」 「・・・シスターコンプレックス。要は『Fond of her(彼女を溺愛している)』ってことね」 「そう・・・」  珍しく、愁い気な表情で彼は呟いた。 「不安?」  家が破産する際には私も色々あった身なので、一応聞いてみる。  答えは返ってこなかった。
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