Storea Segreta

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***  お母さんが働いてる病院は大きくて、迷路みたいだな っていつも思う。  看護師さんやお医者さんもたくさんいるけど、ボクのことはだれも気にしてないみたいでホッとする。  ただ院長室に行く途中、その日は一人の看護婦さんに声をかけられた。 「ちょっと待って、ボク」  ?  何だろう、と振り向くと、その看護婦さんはボクを見て固まる。 「どうかしましたか?」 「・・・あ、いえ。  その階段を昇ると院長室だけど、大丈夫?」 「はい。  お母さんは、ヒショ室にいるので」 「そう。  じゃあ、貴方は碧先生の」  ああ  お父さんの名前を出されて、ボクは納得する。  ボクの顔はお父さんにソックリらしいから、この看護婦さんはお父さんの知り合いなんだろう。 「はい。  息子の碧海です。はじめまして」  そう言って、ボクはランドセルごと頭を下げた。
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