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お母さんが働いてる病院は大きくて、迷路みたいだな っていつも思う。
看護師さんやお医者さんもたくさんいるけど、ボクのことはだれも気にしてないみたいでホッとする。
ただ院長室に行く途中、その日は一人の看護婦さんに声をかけられた。
「ちょっと待って、ボク」
?
何だろう、と振り向くと、その看護婦さんはボクを見て固まる。
「どうかしましたか?」
「・・・あ、いえ。
その階段を昇ると院長室だけど、大丈夫?」
「はい。
お母さんは、ヒショ室にいるので」
「そう。
じゃあ、貴方は碧先生の」
ああ
お父さんの名前を出されて、ボクは納得する。
ボクの顔はお父さんにソックリらしいから、この看護婦さんはお父さんの知り合いなんだろう。
「はい。
息子の碧海です。はじめまして」
そう言って、ボクはランドセルごと頭を下げた。
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