351人が本棚に入れています
本棚に追加
「因みに、その子が女の子だった っていうのはどこで?」
「・・・お姫様が入院した時、先生は処置した医者から胎児の性別を聞いていたらしいです。
で、女の子だって分かった後は、しばらく胎児の写真が『海花』って名前のぬいぐるみに変わりました。それも、しばらくしたら宮城先生に『辛気臭い』って、取り上げられそうになって、置くのを止めたみたいですが」
「あの男は・・・!」
「お、お母さん?」
今まで見たことのないお母さんの姿に驚きながら、未だあったことのないお父さんを「スゴイ」と思った。
お母さんは、その声にハッとして溜め息を吐く。
「・・・前に、碧先生が『あの人が私だけに見せる顔が堪らない』って言ってたけど、こういうことだったんですね」
はー、と呆れたような声を出して、登戸先生は出されたコーヒーを啜った。
最初のコメントを投稿しよう!