Storea Segreta

15/29
前へ
/470ページ
次へ
***  ボクのお父さんは、お母さんの家のお墓に一緒に眠っている。  お母さんはお墓の近くのお店でポピーの花を買って包んでもらっていた。  確かに綺麗だけど、それって違うんじゃないかなぁ?  そう思いながら、ボク達は菊の花が供えられたお墓の横を通り過ぎて行った。  ボクの家のお墓は、墓地の真ん中くらいの場所にある。  改めて見ると、奥にある墓石の手前に小さなお地蔵さんが置いてあるのが分かった。  お地蔵さんの前には、長年雨風に曝されてボロボロになったぬいぐるみが置いてある。  毎年お墓参りには来ているけど、あまり意識していなかったせいか、初めてその存在に気付いた。 「これが、海花お姉ちゃん?」 「そうね・・・」  寂しそうに言うと、お母さんはお姉ちゃんに花を供える。  ボクが何も言わずにお水をかけてあげると、お母さんは小さく「ありがとう」とだけ呟いた。  お姉ちゃんが終わると、お母さんはお父さんが眠っている墓石の方に花を供え、水をかける。  全部が終わって手を合わせていると、お母さんが何か呟いた。
/470ページ

最初のコメントを投稿しよう!

351人が本棚に入れています
本棚に追加