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「お母さん?」
「・・・ゴメンなさい。私のエゴで、貴女達を犠牲にしてしまって」
お母さん・・・?
「碧海。お姉ちゃんはね、お母さんがお父さんの前に付き合っていた人に攫われた時に亡くなったの」
ビックリして、ボクはお母さんを見た。
「お母さんは、お父さんとお姉ちゃんがいたから、その場所から逃げ出したわ。でも、その時は冬だったせいもあって、お腹にいたお姉ちゃんは亡くなってしまった。
お父さんは、最期までお姉ちゃんはお母さんを守ろうとしていたんだ、って言ってくれた。でも、ホントはどうだったのかしらね」
お母さんの目には、涙が浮かんでいる。
それがイヤで、ボクはお母さんをギュッと抱きしめた。
だって、つまりはお姉ちゃんがいなければボクは産まれていない、ってことだ。
そう気付いたから、ボクはお母さんから離れて、目をつむってお姉ちゃんに手を合わせる。
「えーと、お姉ちゃん。初めまして。ボクは弟の碧海っていいます。
お母さんを助けてくれて、ありがとうございました。おかげで、ボクは産まれて来れました。
・・・えーっと、ボクは今幸せです」
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