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『 ピンポーン』と間の抜けた音でチャイムが鳴る。
「はい」
?
聞き覚えのあるその声は陸伯母さんではない。
それもそのはず、扉が開いて出てきたのは空叔父さんだった。
「こんにちは、叔父さん。伯母さんは?」
「ん?ああ。さっき寝たトコだから、もうすぐ起きてくるんじゃないか?」
「貴方は貴方で大変そうね」
今 陸伯母さんのお腹には、赤ちゃんがいるらしい。
そのせいか、お店に出なくちゃいけない陽伯父さんに代わって、空叔父さんが面倒を見ているのだと聞いた。
お母さんの言葉に応えるように、叔父さんは溜め息を吐く。
「ホントにな。
普通、こういうのって旦那の役割じゃねぇの?
買い物から家事から、コキ使いやがって」
「悪いけど、それに関しては何も言えないわ」
お母さんがそう言うのは、お父さんが亡くなってからボクが産まれるまで、陸伯母さんや院長先生が色々と世話をやいてくれた、っていうからだろう。
やれやれ、と叔父さんも肩を竦める。
「で、今日はどうしたわけ?親子揃って学童保育、ってわけでもないだろ?」
空叔父さんはお母さんがさっきまで泣いていたことに気付いているのかいないのか、ちらりとこちらを見て、聞いてきた。
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