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「えーと。ボク、今度作文でお父さんのことについて書くんだ。
だから、どんな人だったのか教えて欲しいんだけど」
リビングに通されると、出されたジュースにも手をつけずに言ったボクを、叔父さんは驚いたように見る。
「ふうん。それなら、まぁいいけど」
叔父さんはそう言うと、お母さんを見た。
「因みに、どの辺りから?
ペンシルベニアにいた頃と日本に来てからのアイツは、人格が大分違うぞ」
「?」
どういうことかと首をかしげるボクの横で、お母さんは溜め息を吐く。
「それに関しては、一応責任は感じてるわ」
「いいんじゃねぇの?
『アイツは、馬鹿の方が平和だ』って、日生も言ってたし」
「それもそうね」
お母さんが嬉しそうに笑ったので、ボクもホッとした。
「そう言えば、君ってまだ初恋引きずってるの?」
「・・・何でそういう話になるわけ?」
?
突然出てきた『日生』という名前と初恋の人という聞き慣れないキーワードに、ボクはハテナを浮かべて二人を見る。
「つうか、初恋云々の前に俺達は日生に育てられたようなものなんだから、仕方ないだろ」
そう言うと、空叔父さんは溜め息を吐いた。
「『共にいた四年間で、自分は知識・武術・処世術、教えられることは全て叩き込んだ。もしもこの先アイツ等が道を踏み外すようなことがあれば、然るべき対処の後、好きに蔑んでくれて構わない』
いなくなる前に、電話でそう言ってた」
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