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「ゴメンゴメン。何か最近、やたらと眠くて・・・。って、大丈夫?」
リビングにやってきた陸伯母さんは、ボクの横で泣いているお母さんを見てビックリしたように言った。
「空、何か泣かせるようなことを言ったの?」
「勘弁してくれ。濡れ衣もいいトコだ」
「碧海君、ホント?」
「えっと、お父さんがどんな人だったか聞いて、空叔父さんが『幸せそうだった』って答えたら、泣いちゃったの」
「ああ」
納得したように、陸伯母さんはお母さんを見る。
「二人は、私が見てきた数少ない恋愛の成功例だからね。
思い入れもひとしおなんでしょ」
成功例?
どういうこと?と陸伯母さんを見ると、伯母さんはボクの頭を撫でた。
「誰かを愛し愛されて、幸せでいられるのは『当たり前』じゃなくて『奇跡』なんだよ。
君のパパとママは、互いを愛し成長し合って幸せになった。その結果産まれたのが君だよ」
そう言って、伯母さんは笑う。
「幸せっていうのは、お互いの努力によって成り立つものだから、ママを大事にしてあげてね」
そのまま伯母さんは、まだあまり膨らんでいないお腹に手をやる。
「『貴女もお腹の子供も、愛してますよ』って海は言ってたらしいけど、その気持ち、今ならよく分かるわ」
そう言って、優しい目をしながらお腹を撫でた。
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