Storea Segreta

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「せっかくみんな集まってるし、今日は焼肉にしよっか」  あの後陸伯母さんはそう言って、帰ってきた陽伯父さんと一緒にホットプレートを囲んだ。 「お前、こんないい肉どうしたんだ?」 「今流行りの『ふるさと納税』だよ」 「ああ、返礼品が豪華すぎる って問題になったあれな」 「別に、制度なんだから使ったっていいでしょ。  それより陽ちゃん、ハイあ~ん」  そう言いながらテーブルを囲む。 「碧海、遠慮してると食うものなくなるぞ」  幸せそうな二人を見ていたら、空叔父さんが皿にお肉を入れてくれた。  お母さんも、いつの間にか笑っていて、ボクはひとまずホッとする。 「ありがとう、叔父さん」 「いいから、ちゃんと食えよ」  そう言って、目の前で仲がよさそうにじゃれ合う陸伯母さん達を見た。  ? 「お前の父親と母親も、こんな感じだった」  懐かしむような目をしてそんなことを言うから、ボクは思わずお母さんを見る。  素知らぬフリをして野菜を食べていたお母さんは、ボク達に気付くとニッコリと笑った。  ・・・  その笑顔が、怖かったのは何でだろう。
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