Straordinario fuori

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「んー、・・・アキ?今何時?」  鼻をつまんで起こすと、恐ろしく惚けた声で聞いてくる。 「・・・もうすぐ八時になるところだ。お前、いつからこんななんだ?」 「えー?覚えてない。それよりアキ、仕事行かなくて平気?」  ・・・  朝の八時と勘違いをしている空に、知らず溜め息が出た。 「今は夜。  とりあえず、風呂にでも入って目を覚ましてこい」 「面倒・・・」  そう言いながらも、空はのらりくらりと起き上がる。  おぼつかない足取りでバスルームに向かう空の腹から、悲鳴が聞こえたような気がした。  まったく  そんな空を横目で見ながらキッチンへ向かう。  陸から預かった弁当箱の中身は回鍋肉にもやしとニラのナムル。それから白飯。  空のあの様子だと、もう一品消化によい汁物でも作った方がよいだろう。  そう判断した俺は、冷蔵庫から卵を取り出し鍋に湯を沸かす。  沸騰したそれに中華だしと酒、薄口醤油を入れ味を付ける。仕上げに溶き卵を流し入れてかき混ぜれば完成だ。  できた汁物を椀によそっていると、廊下からぺたぺた足音が聞こえる。 「あー・・・。三日ぶりのマトモなメシだー」 「さっさと食え」  溜め息混じりに、俺はそう告げた。
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