351人が本棚に入れています
本棚に追加
「んー、・・・アキ?今何時?」
鼻をつまんで起こすと、恐ろしく惚けた声で聞いてくる。
「・・・もうすぐ八時になるところだ。お前、いつからこんななんだ?」
「えー?覚えてない。それよりアキ、仕事行かなくて平気?」
・・・
朝の八時と勘違いをしている空に、知らず溜め息が出た。
「今は夜。
とりあえず、風呂にでも入って目を覚ましてこい」
「面倒・・・」
そう言いながらも、空はのらりくらりと起き上がる。
おぼつかない足取りでバスルームに向かう空の腹から、悲鳴が聞こえたような気がした。
まったく
そんな空を横目で見ながらキッチンへ向かう。
陸から預かった弁当箱の中身は回鍋肉にもやしとニラのナムル。それから白飯。
空のあの様子だと、もう一品消化によい汁物でも作った方がよいだろう。
そう判断した俺は、冷蔵庫から卵を取り出し鍋に湯を沸かす。
沸騰したそれに中華だしと酒、薄口醤油を入れ味を付ける。仕上げに溶き卵を流し入れてかき混ぜれば完成だ。
できた汁物を椀によそっていると、廊下からぺたぺた足音が聞こえる。
「あー・・・。三日ぶりのマトモなメシだー」
「さっさと食え」
溜め息混じりに、俺はそう告げた。
最初のコメントを投稿しよう!