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「・・・だからさぁ。いい加減、そのまま眠るのは止めてくれない?」
朝、シャワーを浴び、彼が作った朝食を食べながら仏頂面のまま私はそうぶすくれる。エプロン姿の彼は、そんな私に構わずご機嫌そうな顔で私を見ていた。
「嫌ですよ、そんな寂しいの」
・・・
彼はやんわりと、しかし有無を言わさない声音できっぱりと私の頼みを一刀両断した。
「できることなら、ずっと貴女と一つに溶け合っていたい、といつも思っているんですから」
・・・彼の言いたいことは分かる。が、しかし、だ
「毎朝男の事情に付き合う私の身にもなってほしいんですけど?」
腹立ち紛れにトーストを噛み切る。怒りのままに目玉焼きの黄身にフォークを突き刺すと、フォークと皿かぶつかる金属音が響いた。
次の瞬間、彼の溜め息がその音に被さる。
「目覚まし代わりになっていいじゃないですか。女性ホルモンも上がって、イッセキニチョウ、でしょう?」
「・・・変な日本語覚えないでくれる?」
返す言葉もなくなり、苛立ち紛れに言うと、彼はそれを読んだようにクスリと笑った。
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