352人が本棚に入れています
本棚に追加
/470ページ
「-っ」
次いで、降ってきたのは唇だ。
「・・・ふっ、んんー」
長い口づけに耐え切れず息継ぎをした途端、待ちかねていたように舌が入ってくる。
「んっー」
喉の奥まで舌が侵入すると、さすがに苦しくなって彼の胸を叩く。
すると、それに気づいたように彼は私から離れた。
「はっ・・・」
唇を離す瞬間、彼の舌は余韻を味わうかのように私の唇を舐めていく。真っ赤な顔をしている私を、満足そうに彼が眺めた。
「本当はもう少し貴女を味わいたいんですが、これから仕事ですからね」
そう言うと、彼は再びコーヒーに口を着ける。
「でも、どうしたんです?いきなり」
「・・・」
彼女の名を出してもいいものかと躊躇っていると、彼に唇を啄まれた。
「帰ってきてから体に聞いた方が早いですかね」
「は・・・?」
冗談ではない。邪気のない顔で呟かれたその言葉の内容に、思わず背筋を寒くした。
最初のコメントを投稿しよう!