そう、全ては夢の中に

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「あのなぁ、夏休みだから何処かへ連れて行けって言われても、こっちは仕事、盆もへったくれも無いの」 でも日曜日はある、その貴重な休日の朝からミナとアキオに叩き起こされた。 お察しの通り、夏休みに暇を持て余した子供達が毎週、毎週、隙あらば催促攻撃を仕掛けてくる、やれ、プールだ、やれ、遊園地、山や海にも連れていけって、口を開けばこれだから職場にも家にも逃げ道は無いのである。 「プールなら先週連れて行ったじゃん、えっ、そんな前だったっけ?」 結局、子供達に押し切られ、市営プールに行くことになった、ちなみにママは留守番、はい、はい、どうせオレに家事は出来ませんよ。 短パンとTシャツでみっともない肢体を隠す。 「あ、帽子、忘れるなよ、お前らも被ってけ」 家から一歩外に出ると、容赦なく照りつける夏の日差しが肌を刺す、目眩すら覚える猛烈な暑さに、遠慮なく騒ぐ子供達と蝉。 「こらっ、道路でふざけるな、危ないだろって!あーっ!」 キキーッ オレはアキオの小さな身体に覆い被さり、車に轢かれそうな我が子を身を挺して庇った、咄嗟と言うか、条件反射的に、頭で考える前に体が動いた。 バババーッ 死んだと思って、暫く動けなかった。 ギリギリで車は避けてくれて、二人とも助かった。 「だ、大丈夫か、だから、あれほどふざけるなと言っただろ、本当に気をつけろよ」 キツく叱ると、泣き出した息子を、抱きしめて、そのまま抱っこしてやる、大粒の涙をポロポロこぼしてオレのシャツを濡らす、小学三年生、まだまだ子供である。
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