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「今日はもうプールは止めて帰ろう、その代わりママも呼んで、後でご飯を食べよう」
アキオは少し残念がったが、夕飯を希望通りにお寿司にしたら機嫌が良くなった、回転するやつだけど。
3人で手をつなぎ、ゆっくりと家まで歩いて帰る、ミナの体を冷やさないようにと言われたので丁度良い、近所まで来ると死にかけたのを忘れて元気に走り出した、ママを連れてくると言って。
30分程待って座れたファミリータイプの回転寿司店、子供達は大はしゃぎ、ママもオレのおごりと聞いて喜んでいる。
オレも待望のビールにありつけ、上機嫌だ。
「いいとも、好きなだけ食べなさい、今度いつ来られるか分からないからな」
うん、あながち冗談ではない。
いつでも好きなときに、これくらいの事はしてあげたいと思った。
こんなに喜んで、幸せそうにしてくれるのなら、オレはいくらでも頑張れると思った、もっともっと働いて、お寿司も、プールも、遊園地も、旅行でも、全部お前達に与えたい、お前達が喜んでくれる、それが、オレの喜びなのだから。
それこそが、オレの幸せなのだから。
老人の頬を涙がつたう。
初老の女性はハンカチを雫に添えた。
その拭った涙の意味は分からずに。
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