2人が本棚に入れています
本棚に追加
「~♪」
鼻歌交じりに隆義の横を通り過ぎ、心は再びメンバーの先頭に立つ。
「オープス シュ~テュムツ オ~ダシュナイッ♪ オプ ディ ゾーンヌ~ンス ラハっ♪ デ~ぁターク グリューエンハイッ オーダー アーイスカ~ル ディナっ♪」
心がついに声に出しながら歌い始めたその歌が何なのか、隆義はまだ知らない。
シ式の点検を行う面々は、そんな様子の二人(実は三人だが)を見ながら──
「誰が教えたんです? あの歌」
「俺だ。他に誰がいる?」
整備員が発した疑問に、義辰は即座に応えた。
さて、心は隆義を先導しながら、格納庫の片隅──壁に固定された、シ式にそっくりのロボットの前で止まる。
「ちょっと待ってて」
心はそう言うと、さっさとロボットの腕の上に飛び乗り、軽業師のように肩の上へと飛び上がる。
「身軽だなオイ!……って、まさか、こいつで行くのか?」
「そうだよー」
きゅーちゃんは見るのも二度目と言った所か。
初めて見た時は暗かったが、今は細部までしっかりと見る事ができる。
「これ、みるからに、ししきにそっくりね」
(……俺も、そう思った所だよ)
「だって、今は非常時だもん」
心はおどけた様子で言うと、続けて「なにがあるかわからな~い♪」と、歌った。
機体頭頂部の乗降ハッチを開き、素早く身をシートの上へ滑り込ませた心は、イグニッションスイッチに鍵を差し込む。
それが捻られた瞬間、まるで車のエンジンが始動するのと同じに、ロボットの背面からエンジン音が響いた。
「あいちゃん、こちらココ。ジャグリオン出るよ~」
[は~い。マスターからの外出許可はこちらにも届いてます~。ココちゃん、気をつけて行ってらっしゃいませ~]
あいちゃんの返事と共に、機体を壁に固定していたリフトが下り、脚部が床に接地する。
同時に、背面と胴体前面に、ガチャガチャと装備が装着されていく。
「え? なにこれ? いったいなにがおきよるん?」
最初のコメントを投稿しよう!