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吉崎なら、あるいは大丈夫かと思っていたが、甘かったようだ。心のどこかに俺を利用しようという気持ちがあるのだ。材料費がタダだなどと。
爺ちゃんの言ったとおりだ。そして秘密は秘密でなくなり、広まっていく。
「ははは。そうだな、それもいいかもな」
気持ちを切り替えて、声を出す。
「それより、ちょっとこっちに来てみろよ。外が見えるぞ」
「ホント?!」
近寄る吉崎。わずかな光に、人懐っこい顔が照らされる。
「ここまで、よく頑張ったな。俺1人じゃ、あんな量のまんじゅう食いきれなかったよ」
「あ、ひどい。ひとの事、大食いみたいに言わないでよ!」
「ごめんごめん。そういう意味じゃないんだけど。ほんと、お疲れ様」
自然な流れで、吉崎の頭をポンポンと撫でる。そして集中する。
秘密は、守らなければならない。
ぱふぉ
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