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B
9月27日、今日から養護学校での実習がある。あたしは青春時代を謳歌していた。
S大学に入り、鷹島って親友も出来た。
昼顔村って辺鄙なところにある、おとぎ話に
出てきそうなお城みたいな養護学校だ。
不安がいっぱいあった。
偏見もあった。汚い、怖い、いけないことだが心に壁があった。
バスのなかで鷹島と朝ドラの話をした。
バスを降り、校門をくぐる。嫌だなぁ、こんなことしないと教師になれないのかな?
しかし、生徒たちの笑顔が爽やかで自分が恥ずかしくなった。
高等部A組を担当することになった。自分たちと5歳くらいしか違わないが、幼稚園児くらいの身長しかない。
高梨くんって生徒は食道が細く、食べ物がよく通らない。オルガンがとても好きで、あたしはアマリリスを弾いてやった。
「伊ヶ崎ってピアノ弾けるんだ?」
鷹島が驚いていた。
「5歳から習ってるからね?」
高梨くんは給食でも大変そうだった。大きなおにぎりは食べることが出来ず、細かく刻まないといけない。生徒用のけんちん汁を飲んでみたが、健康状態を考えてなのか塩が全く使われていなかった。
わたしはもどしそうになってしまった。
午後は体育の授業。グランドボールをやったが、高梨くんは途中で腹痛を起こしトイレをさせた。
ウンチの状態を確認することも大切なことだと、担任の花子先生に教わった。
部活は体育館でバスケをやった。鷹島はなかなか様になっていた。フリースローを決めて、生徒からモテモテだった。
「中学校のときにやってたんだ」
鷹島はエッチがうまかった。
実習のあとカラオケに行き、ミスチルとか西野カナを歌った。ビールをたくさん飲んだら、やらしい気分になって、ラブホに出かけた。
濡れた音が部屋のなかに響いた。
「汚いよ」
鷹島は苦笑いしている。
「誰だってしてることよ?」
意外とオクテなんだな?
「真美子ってエッチなんだね?」
ラブホのアロマオイルの薫りは今でも鮮明に覚えている。青春の薫りだ。
「皆殺しにしろ」
織田の声に現実に戻る。血まみれの十軒通りに立っている。地獄絵図、素敵だ。
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