2015年 京都

1/1
前へ
/13ページ
次へ

2015年 京都

 一難去って、また一難。ニッポンレンタカーやロッテリアからマフィアがどっと雪崩のように飛び出した。マシンガンにショットガンが唸る! 「畜生!何だよこの街!鮒侍め!」  俺の体にボツボツ穴が開く!このくらいはかすり傷だ!どいつもこいつも邪魔ばかりしやがる! 「逃げんぞ!この、アマ!」  真美子の手を引いて駅へと逃げる!  改札口にも私兵が立っている。  雨あられと降り注ぐ銃弾に追い立てられ、俺は舌打ちをした。徳川の兵が援軍に現れた! 「京都でぜんざいが食べた~い!」  ったくこんなときに!真美子の神経を疑った。 「馬鹿を言うな!今や京都は火の海だ」  否、1つだけ方法がある!一か八か賭けてみるか!  赤備えの武者たちが後方から迫る!  井伊直政か!酒井や榊原に並ぶ、徳川家康の重臣だ。安政の大獄で有名な井伊直弼は彼の末裔だ。  俺は真美子と男子トイレに駆け込んだ! 「何考えてんのよ!こんなときに!ハライタくらい我慢しなさい!」 「黙ってろ!馬鹿真美子」  大の部屋に入ると床に黒い渦が現れた。 「何なのよ!これ!?」 「いいから飛び込め!」  真美子はワンワン泣き出した!  ガシャガシャ、鎧の音が近づいてくる。 「いたぞ!こっちだ!」  太秦撮影所かここは!?嫌、つくばの撮影所の方が近いか?えぇい!どっちでもいいわい!!  俺たちは目を閉じて渦のなかに飛び込んだ! 「ウワーッ!目が回る~!!」  気がつくと京都駅に立っていた。兵士の姿は今のところ見当たらない。  子供がキャハキャハ(*≧∀≦*)騒いでいる。 「タイムリープって奴?」  真美子がキョトンとしている。  筒井康隆や高畑京一郎ワールドで度々登場するが、まさかマジで起きるなんてな!  さらに驚くことが!スマホを見たら、2015・8・16に切り替わっていた。  思わず涙を流した。まだ、平和だった頃の日本にタイムスリップした。  もしかしたら!時代を……変えられる…かもな!?  駅ナカを散策した。震災の直後に知った、生きていることの充実感。人間は愚かで、忘れてしまうものなのかな?  八条口の近くに水で描くアートが飾られていた。  大文字やイルカ、家紋など様々な形に姿を変える。浴衣を着ている人がたくさんいる。  優しそうなおじさんに尋ねた。 「何かあるんですか?」 「今日は五山送り火やで」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加