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寺田屋事変
勇作と真美子は鉄板屋に入った。カウンターに座った。目の前でお好み焼きを焼いてくれる。
「ねぇ、勇作は何で死んじゃったの?」
水を一口飲み、真美子は尋ねた。
「銃で撃たれた。姫宮ってマリオブラザーズに出てきそうな場所があるんだ。仕事が終わったんでブラブラしてたらさ?遠江って知り合いを見かけてさ、声をかけようとしたら、ズドン!」
「まぁ、怖いわね」
お好み焼きにだし巻き玉子、焼肉……次々に平らげた。
「真美子は万葉集って知ってるだろ?」
「失礼ねぇ、一応大学出てるんですけどね?」
「あれ、そーでしたっけ?」
「感じ悪いわね?」
「万葉仮名ってあるじゃん?漢字の音を借りて日本語に表記するあれだけどさ?」
勇作がボールペンで紙ナプキンに波、呂と書いた。ナミ、ロと読むのは小学生でも知っている。
「これが藤原時代では平仮名に変わった」
波→は 呂→ろ
「それがどうしたの?ウンチク大魔王、上田にでも弟子入りしなよ」
海砂利水魚時代は全く売れないが、クリームシチューになってから豹変した。
「以上、鷹島勇作のウンチク学でした~」
「ウンチがしたい」
真美子は女性とは思えない下劣な発言をした。
下劣コップってあったよね?長瀬智也がやった、うぬぼれ刑事に出てきたよね?
真美子はトイレに向かった。
麦わら帽子をかぶった店員が、スマホを見るなり
言った。「てぇへんだ、寺田屋で事件だ」
勇作はジョークだろ?と、鼻で笑った。
薩長同盟の直後、ここを常宿としていた坂本龍馬が幕府の放った密偵により襲撃される。
俗に言う、寺田屋事変である。
慶応2年4月23日のことである。
ここの女将、お登勢は情報屋として龍馬に協力していた。龍馬は密偵の1人を射殺!前日までヒーローだった龍馬が、この事件によって悪人へと変貌を遂げてしまう。
また、文久2年4月23日にも、薩摩藩の不穏分子である有馬新七以下、35名が関白九条尚忠と、京都所司代酒井某の殺害を計画して集結。
薩摩藩は大久保利通たちを鎮圧に向かわせたが、乱闘になり有馬以下9名が死亡した。
古尾谷は屍に掌を合わせていた。
「ホトケは神崎に間違いない」
神崎は屋敷を一棟焼失させたが、無人だったので犠牲者は出なかった。
古尾谷は寺田屋に入った。お龍の入浴シーンで有名な木の湯船があった。真木よう子の首筋は生唾もんだったな?隠し扉を開けると、黒い渦が巻き起こった。
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