美しき青年

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「明菜様。今日は体調がいつにもましてよろしいようで。」 朝早く検診のため専属医者に体の具合を調べてもらっていた明菜。 検診が終わり、突然言われた言葉に内心なぜかドキッとしてしまうが平然を装いいつもの調子でその場を乗り切る。 が、今日は夕方から家庭教師の先生が来る… 「嫌だな…」 どうせなら今日は仮病を使って休みたかった… けど、あのように医者から言われたら今日仮病を使ったら絶対に怪しまれるに違いない… こんなにも家庭教師の日を休みたいとなんて思ったことない。 だけど、今明菜にとっては昨日会った剣士と今日また会うことが一番楽しみなのであった。 来る確信はないけど… 朝早く起きたせいで眠たくなってきた明菜は、家庭教師の先生が来るまで寝ようかと寝床に入ると窓の隙間から桜の花びらが一つ降ってきた。 まさか!と思い、勢いよく窓を開けると昨日の剣士が桜の木の上で昨日と同じように眠っていた。 「お…おはようございます!」 「…………」 うっすらと目を開け、明菜を見るとまた目を閉じてしまった。 「あ…っと、今日は来てくれてありがとうございました!来ないのかなって思ってましたから…」 「お前。」 「え?」 ふいに目線が合う。 吸い込まれるような深い深い緑色の瞳に明菜は何かみいられるような錯覚に一瞬陥る。 「お前。」 「あ!は、はい!」 「なぜ、家からでれない?」 「え?」 なぜ、この人は僕が家からでれないことが分かるのだろう… 昨日会ったとき、言ったのかな… 昨日と今日とまるで明菜が置かれている現状を知っているかのような質問。 初対面なのに、なぜ…? そう思いまた剣士を見ると不機嫌そうな顔でこちらを見ていた。
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