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「ごめんなさいιえっと…昔から体が弱くて外に出させてもらえないんです…」
「…………」
剣士は目を少し閉じ、しばらくしてから開けると木から降りて明菜を見ると一言言って立ち去る。
「可能性…あり、か。」
「え?」
ひゅっと風が目の前にきて思わず目をつむってしまい明菜が目を開けたときには剣士がいなかった…
「可能性って…なんのこと?」
色々気になることがあり過ぎて訳が分からなくなりそうだ…けど、今とっても気になることは…
「明日も来るのかな…」
きっともう来ないのかもしれない…そしたらまたいつもの生活に戻るだけだ…
次の日、また次の日と剣士を待つこと既に一週間がたとうとしていた…
「さすがにもう来ないよね…」
窓の外を眺めていたら、もう日が暮れそうになっていた…
一週間もここに来なければあの美しい剣士さんはどこかへまた旅だってしまったのだろう…そう思い窓を閉めようとした瞬間桜の花びらが一枚入ってきた。
「………ぁ」
ゆっくりと桜の木を見ると剣士が座っていた。
「剣士さ…ん…」
嬉しさのあまり言葉がでず、変わりに涙がでてしまった。
初めてできた話す相手、唯一外の世界を知っている人…
明菜はいつの間にか剣士が来ることを楽しみにしている自分がいることに気がついた。
「涙はみっともない。」
「アハハ…そうですよね…」
ゴシゴシと涙を拭う明菜を見つめながら剣士は口を開く。
「今日はお前を迎えに来た。」
「え…」
スッと木から降りると言葉の意味が分かっていない明菜の元へ近づき手を差し出す。
「来い、復讐の時は来た…」
剣士の言葉に明菜は、何かにみいられるようにその手をとると剣士の拳が明菜の腹を殴る。
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