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「また、来年会おう。また、来年の今日、迎えに来るから」
「うん」
「大丈夫。一年なんて、きっとすぐだよ」
「……うんっ」
僕らはまた、強く抱き合った。
そうして、ゆっくりとお互いに体を離した。
彼女の体温がまだ腕の中に残っていて、「やっぱり」と言いたくなる気持ちをグッと堪える。
そして彼女に向かって、満面の笑みを向けた。
「それじゃあ、行ってきます」
「うん。行ってらっしゃい。私も、行ってきます」
「行ってらっしゃい。──また、ここで会おう」
その言葉を最後に、僕たちの間にはまた、星の川が流れた。
次に会えるのは、来年の今日。
その日まで──僕は彼女への想いを胸に、一年間の旅をする。
彼女もまた、旅をする。
そうして、来年もお互いに言うのだ。
「おかえり」
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