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「──やっと、会えた」
そう言うのと同時に、彼女は僕の胸に飛び込んだ。
その小さくとも温かな体を、僕はしっかりと抱きしめる。
強く抱きしめてしまうと折れてしまうのではないか、と心配になるほど、彼女の体は小さく細い。
その小さな背中に、彼女はどれほどの悲しみを背負ってきたのだろう。
その小さな体に、どれほどの想いを秘めているのだろう。
「一年」という時間はあまりにも長く、大きく──彼女のことを考える度に、僕の心は強く握られるかのように苦しくなった。
「たくさん触れ合って、たくさん話そう。そうして、一年間募らせた苦しみや悲しみを、あの川に流そう」
「──うん。そうしたら、きっと、僕たちはまた出会える。次の今日まで──僕たちはまた、あの長い時間を耐えられる」
そう、まるで呪文のように僕たちは言った。
それから僕たちは、たくさんの話をした。
お互いの顔が鼻先にあるくらいの距離で触れ合った。
時折、彼女は涙ぐんで、それを親指で拭ってやると、彼女は幸せそうに笑った。
僕の体温が、僕が目の前にいることがとても幸せだ、と彼女は言った。
その、少し目尻を赤くした彼女の微笑みにつられるように、僕も笑った。
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