三分で読めるお話

02 完璧

　…――彼女は完璧超人だけど、残念な女の子だ。

　容姿端麗で、今度、アイドルとしてデビューするらしい。しかもデビュー前から総選挙で、ぶっちぎりの一位を獲るほどの人気ぶり。センターは確実。まあ、人気アイドルのセンターだからって可愛いとは限らないが、それでも凄いと思う。素直に。

　ただし可愛いだけじゃ世の中は渡れないけどね。

　それが僕の残念彼女。

　勉強は学校で一番。いや、日本全国でトップの成績を収めるほどの実力者。それどころか小学生の時の書いた論文は学会でも高評価を受けていて、今度、世界初の高校生ノーベル賞受賞を果たすらしい。アインシュタインの生まれ変わりとも。マジか。

　いくらあっぱれな天才ぶりでも、ほどがあるぞ。

　それが僕の残念彼女。

　無論、スポーツも、ずば抜けていて男子に交じっても、なんの遜色もない。次回のオリンピックでは十五個に及ぶ金メダルを嘱望されるほどの怪物ぶり。言うまでもないが、ジャンルを選ばず、どんな競技でも最高の結果を叩き出す。まさに阿呆だ。

　彼女が持つ世界新なんて両手があっても全然足りないくらいだ。

　これはフラグではと思ってしまうほどのスポーツウーマンぶり。

　それが僕の残念彼女。

　そして、

　ラブコメのお約束でもある料理や家事が苦手だという事もない。

　本職は家事手伝いなんじゃないかと思えるほどの完璧ぶり。掃除洗濯などは言うに及ばず、料理なんか、もはや超絶プロの領域で美食漫画も真っ青。死ぬほど美味い料理を難なく作ってしまう。色んな意味で開いた口が塞がらないとは、この事だ。

　本当に欠点がない事が欠点なのだと言われそう。

　それが僕の残念彼女。

　更に羨ましい事に、商才も腐るほど、持て余す。

　親がフォーブスに載るほどのお金持ちなのは言うまでもないが、彼女自身、洗濯ばさみを商材に一ヶ月で五億円稼ぎ出せるだけの才覚がある。洗濯ばさみを商材に、どんな手を使うのかは分からないが。てか、詐欺だろ、それって。違うのか？

　というかだ。洗濯ばさみを売るだけで、時給換算で６８４，９３１円の大台だぜ。

　本当にあり得ないぞ。

　必死で家族の為働く世の中のお父さん連中の恨みを買うんじゃないかとさえ思う。

　ここで疑問に思う。果たして、彼女は一体、なにが残念なのか？

　うむっ。

　答えは、こうなのだ。

　それは、彼女が、二次元の中だけの存在って事。

　つまり、

　今まであげた彼女が持つ数々の偉業は、決して現実には干渉できない力って事さ。

　まあ、ある意味で、僕も残念だから、彼女と僕は、お似合いなんだけども。ねっ！

　ふふふ。