66人が本棚に入れています
本棚に追加
/160ページ
23 ベタを打破する
…――目の前に宇宙人と思しき異様な風体をした生物がいる。
ただし俺も人の事は言えない。
あだ名がUMAという程のブサメンなのだ。
今、まさに始まる宇宙人とUMAの決戦という感じだろうか。
昭和でいえばオカルト雑誌に載っていたベタな世紀の大決戦。
時は深夜。
腹が減ったのでコンビニでなにかつまめるものを買おうと外出した。
その時、遭遇してしまったUFOとUFOから出てきた謎の宇宙人。
そいつは銀色のひょろ長い体で、やたら頭がでかい。墨を落したような漆黒で目が染まっており、瞳は、丁度、レモンを横に並べて置いた感じに見える。鼻頭など見あたらず、丸い鼻腔が真っ正面を向いている。唇もなく、そこには空洞がある。
あり得ないほどまでベタで分かりやすいステレオタイプ的な宇宙人。
グレイ。
ベタベタすぎて山口敏太郎も真っ青だぜッ。
ロズウェルも裸足で逃げ出すレベルだろう。
「お前は宇宙人か?」
UMAな俺が問いかける間抜けすぎる問い。
今、まさに、この瞬間、熱い決戦が始まる。
と思っていたら意想外な反応が返ってきた。
眼前の宇宙人から。
「いやいや、お前の方が宇宙人じゃねえの?」
と……。
確かに、
俺は、みんなにUMAとあだ名されている。未確認生物なんて呼ばれてはいるが。
宇宙人なんかじゃない。紛う事なき人間だ。
「お前ほど宇宙人という言葉が似合うベタな宇宙人に宇宙人なんて言われたくねぇ」
俺は眉をしかめる。
答える、ベタベタなる宇宙人。
「だって、お前、地球に住む宇宙人だろう? 俺たちピタゴラ星人から見たら、地球人は、みんな宇宙人だぜ。むしろ俺こそ人間だと声を大にして言いたいね」
あ、そっか。そうだ。アハハだ。俺らは、やつらから見たらみんな宇宙人ってか。
まあ、これこそがベタなオチってやつだな。
アハハ。
最初のコメントを投稿しよう!