31 昴先生

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31 昴先生

 …――昴(すばる)先生はスパルタで有名な教師。  まるで、GTOの鬼塚のように、はたまた、ごくせんのヤンクミのように、また、ある時は金八のように熱血すぎて、ついつい厳しくなってしまうのが昴先生。だけど熱血しすぎるって事は生徒の事を思っているからなんだ。昴先生の優しさなんだ。  僕はそんな昴先生が大好きなのだ。  いくら先生がスパルタだろうとも、多分、怒るのは規則を破っているからなんだろう。誰よりも規則に厳しいだけなのだ。しかも普段の先生はお茶目だ。だからこそ、厳しいからこそ、先生が、ちょっぴりだけども可愛くも思えるのだ。  昴先生は今日も校門前で仁王立ち。  遅刻する生徒はいないか、あるいは校則違反をする生徒はいないかと目を光らせている。まるで前頭部に一本のツノが生えているんじゃないかと思うほどの殺気。手には竹刀を持って威圧感が半端ない。まあ、これがデフォだけどもね。 「おい、メッシュの金髪は禁止だぞ。明日までに黒に染め直してこい」  竹刀を立ててからヤンキーに注意。  お次は、 「お前、通学途中でタバコ買ってたろ。あとで生徒指導室へ来い。停学は覚悟しろ」  と昴先生に気圧され、おずおずと買ったタバコを差し出す男子生徒。  その次は女生徒だ。 「おい、そこのお前、スカートの丈が短すぎる。明日からは規定の制服を着て来い」  そして、  優しくも厳しい指導は続いてゆく。  遠巻きに昴先生を見ていた僕を昴先生が見つけて手を振ってくれる。 「おはよう。腸も元気だ、屁が臭い」  うふふ。  朝日に照らし出された黒々としたツノのようなメッシュ金髪リーゼントを自信満々にそそり立たせる昴先生。口にはタバコをくわえ、鼻からゴジラのように白い煙を吐く。そして極端に丈の短い紺色のマイクロミニなスカートをはいている。  昴先生はやっぱ今日もお茶目だな。  フフフ。
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