17 オーバースロー

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17 オーバースロー

 …――スローライフを満喫しよう。  そういうキャッチフレーズの女性達を魅了して止まないのんびりライフゲーム。  とびだせ、問う仏(ぶつ)の母利(もり)盛りな杜。  ……主人公である母利さんが仏に問うて作物の作り方を教えてもらい、田んぼや畑で農業を営んだり、また仏に問うて牛の世話の仕方という説法を聞きつつ畜産をしたりするゲーム。ゆっくりしたいと願う女性の思いを見事に叶えてくれた名作。 「あ、また神託だ。ふむふむ。釣りをして、金の斧を手に入れろって?」  神託、それは、普通のゲームでいうクエストの依頼。  無論、クリアすればご褒美がある。 「……お姉ぇ」  女性の弟が、なにか用事があるのか部屋へと入ってくる。しかし彼女はスローライフゲームを満喫して夢中。弟が入ってきた事に、まったく気づかない。それほどに熱中できるのも、またこのゲームが神がかっているとも言えるよい証拠だ。 「あ、お姉ぇ……、パンツ見えてる」  弟の視線の先には見事なる縞パン。  青と白がまぶしい、魅惑の縞パン。 「うぬぬ。この神託は受けるべきなの? 止めべきか」  弟の声など、聞こえていない女性。 「お姉ぇ。ゲームなんかやってないで聞いて。だからパンツ見えてるって。パンツ」  やっと、声が届いたのかキッと弟を睨み付ける女性。 「うるさいッ。今、忙しいのッ!?」  …――スローライフ。  ゆっくりを楽しむゲーム。それこそが、とびだせ、問う仏の母利盛りな杜の趣旨。  また天に御座す神から神託がある。  モノホンの神様から。  スローライフゲームを満喫する為、ゲームに忙しいお姉さんへと……。  余裕を持って遊べと。
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