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21 祈り
…――僕は、神さまに手を合せて、祈る。
「神さま、どうか、僕をこの責任ある立場から解き放って下さい。お願いしますッ」
切なる願い。
やつらを見守りながらも、つぶやく祈り。
僕は僕以外の誰もがプレッシャーに圧し潰されるような立場にいる。それはとても重責な立場で、どんなに強靱なメンタルを持っていたとしても逃げ出したくなるようなポストとも言える。もちろん僕以外には務まらない。傲慢でもなんでもない。
事実なのだ。
例えば、戦争で先頭を走り、先陣をきって敵陣に攻め込むよりも、また例えば学生達の将来を決める入試のテストの採点をするよりも、はたまた一触即発の仮想敵国に外交(スパイ)に行くよりもずっとずっと果てしなく重い責任を負っている。
うんざりするほどのプレッシャーに毎日、毎時間、毎分、晒され続けているのだ。
いや、どれがどれだけ重くて責任があるのだとは一概に比べられないのも分かる。
けど、少なくとも僕の立場は荒ぶる戦国武将ですら裸足で逃げ出したくなるような立場にいるとは言える。そんな立ち位置から好戦的なやつらをいつまでも見守っている。あまりにやつらが好戦的すぎていつも辟易しイライラさせられる。
ストレスが半端なく溜まる。
重い責任とストレスで死にそうにもなる。
もし神さまが願いを聞き届けてくれたら、
田舎に行く。
田舎に行って、のんびりと農業でもして生きていきたいと願う。
ど阿呆なやつらなんてを放っておいてさ。
まあ、叶わぬ願いだって分かってるけど。
だって……。
僕はその神さまなんだもの。
好戦的な人間達を、いつも見守っている責任が半端なく重い神さまだなんだもの。
「神さま、どうか願いを聞き届けて下さい」
今日も祈り続ける。神様に。
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