66人が本棚に入れています
本棚に追加
/160ページ
24 萌え尽きる
…――廃児(ハイジ)の呼びかけも空しく、俺は立てなかった。
時は数分前。
「ほら、頑張って。あと少し。もうちょっと。勇気を出して……」
彼女から声をかけられる。
必死の形相。
「頑張れ、頑張れ。絶対に立てるから。もう少しよ。もう少しよ」
ごめん。もう嫌だ。もううんざりなんだ。
疲れたんだ。
「もうッ。意気地なしッ。本当は立てるクセに逃げてるんだッ! 絶対そうだッ!」
違う。本当に違うんだ。もう疲れたんだよ。分ってくれ、廃児。
不甲斐ない俺に期待なんかしないでくれ。
勘弁してくれ。もう、放っておいてくれ。
「立つのよ。立って。立てるって。絶対。ほらもう少し。勇気を出して、頑張って」
だからもう勘弁してくれ。
もう疲れちまったんだよ。
「立つんだ、立つんだ、ジョーォォッ!!」
萌えたよ……。まっ白に……萌え尽きちまったんだよ……廃児。
俺は、まっ白な灰になっちまったんだよ。
第一部、完。
星埜銀杏先生の次回作に、ご期待下さい。
最初のコメントを投稿しよう!