24 萌え尽きる

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24 萌え尽きる

 …――廃児(ハイジ)の呼びかけも空しく、俺は立てなかった。  時は数分前。 「ほら、頑張って。あと少し。もうちょっと。勇気を出して……」  彼女から声をかけられる。  必死の形相。 「頑張れ、頑張れ。絶対に立てるから。もう少しよ。もう少しよ」  ごめん。もう嫌だ。もううんざりなんだ。  疲れたんだ。 「もうッ。意気地なしッ。本当は立てるクセに逃げてるんだッ! 絶対そうだッ!」  違う。本当に違うんだ。もう疲れたんだよ。分ってくれ、廃児。  不甲斐ない俺に期待なんかしないでくれ。  勘弁してくれ。もう、放っておいてくれ。 「立つのよ。立って。立てるって。絶対。ほらもう少し。勇気を出して、頑張って」  だからもう勘弁してくれ。  もう疲れちまったんだよ。 「立つんだ、立つんだ、ジョーォォッ!!」  萌えたよ……。まっ白に……萌え尽きちまったんだよ……廃児。  俺は、まっ白な灰になっちまったんだよ。  第一部、完。  星埜銀杏先生の次回作に、ご期待下さい。
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