鵜飼君の話

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そうして、僕らは出会い後に僕と君と羽仁(はに)の鶴城北中学三銃士が、結成されたのでしたか。 そういえば羽仁は今、何をやっているんでしょうか?え?北海道の大学で講師をしている。また、馬鹿に寒いところに行きましたねぇ。気が知れませんよ。 で、我ら鶴城北中学三銃士は誓ったのを覚えていますか? 「我ら三人、生まれし日、時は違えども兄弟の契りを結びしからは…」 え?それは三国志演義の桃園の誓い? そうでしたか? まあ、いいじゃないですか。 要は互いのために生きましょうって誓ったわけですから。 そして僕らは気の置けない友になったのでしたね。 ちょっと、何を怒っているんですか君は? ああ、君と羽仁が我らがクラスの華、 舞坂悠里さんへの誕生日プレゼントにと、 夜の学校に忍び込み外壁に彼女の好きな芸能人の絵を、スプレーで書いてサプライズしようとしたのを先生に相談したことですか? 密告?人聞きが悪いですねぇ。 僕は君らのために断腸の思いで、相談したのです。まぁ、その間に屋上から美術部に依頼して製作してもらった舞坂嬢の好きなアーティストの絵を吊るしたことで、誕生日プレゼントは間に合いましたね。 当時、僕らは先生方にマークされてました。特に生徒指導の久和先生は執念を燃やされて、虎視眈々と一網打尽にする機会を狙っていましたからねぇ。久和先生は運動会の校長の頭髪借り物競争強奪事件以来、僕らの尻尾を掴みたがっていました。 ですから、あの夜の動きが漏れていると気づいた僕は、ああするしか無かったのですよ。囮? イヤイヤ、一人は皆のために、皆は一人のために、じゃないですか。 All For One、One For Allの精神ですよ。僕のための君たちの自己犠牲は忘れられない、美しい思い出ですねぇ。 もういいから、本題に入れ? なんでしたか、ああ僕が空っぽだという話でしたね?
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