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「明日香……結婚しよう。」
「え……?」
諒を見つめて固まった明日香は、困惑の表情を浮かべた。
「気分が盛り上がったから言ってるんじゃないよ。実は、前から考えてたんだ。明日香とずっと一緒に居たいって。」
明日香はだまって諒を見つめている。
「……自惚れかもしれないけど、俺と一緒に居るときによく笑うようになってくれて……それが嬉しいんだ。ずっと気を張って、他を寄せ付けずに生きてきた明日香が、俺の前では安心して笑顔になれるんだって思ったら、それが誇らしくて。明日香が幸せだって思える生活を、2人で作りたいんだ。」
明日香の瞳から涙が一筋流れ落ちた。
「私、幸せになっていいのかな……?」
震える声で明日香は続けた。
。
「私ね、死ぬまでずっと幸せになんかなれないって思って生きてきたの。自分が傷付いた分だけ、他人を傷付けてきた。欲に何度も流されて……すごく惨めになっても、それが当たり前なんだと思ってた。」
諒は明日香の髪に触れながら、静かに話を聞いていた。
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