Acceptance

15/16
164人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
「明日香……結婚しよう。」 「え……?」 諒を見つめて固まった明日香は、困惑の表情を浮かべた。 「気分が盛り上がったから言ってるんじゃないよ。実は、前から考えてたんだ。明日香とずっと一緒に居たいって。」 明日香はだまって諒を見つめている。 「……自惚れかもしれないけど、俺と一緒に居るときによく笑うようになってくれて……それが嬉しいんだ。ずっと気を張って、他を寄せ付けずに生きてきた明日香が、俺の前では安心して笑顔になれるんだって思ったら、それが誇らしくて。明日香が幸せだって思える生活を、2人で作りたいんだ。」 明日香の瞳から涙が一筋流れ落ちた。 「私、幸せになっていいのかな……?」 震える声で明日香は続けた。 。 「私ね、死ぬまでずっと幸せになんかなれないって思って生きてきたの。自分が傷付いた分だけ、他人を傷付けてきた。欲に何度も流されて……すごく惨めになっても、それが当たり前なんだと思ってた。」 諒は明日香の髪に触れながら、静かに話を聞いていた。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!