一話 種火

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「竜人と人間の間に生まれた子……なら炎の力を宿しているはず……何としても生かさなければ」 謎の人影は、赤ん坊を抱きかかえると冬将軍たちに見つからないように村を離れた。 「この村が凍りづけになることを皮切りに全てが眠りに着く世界が作られる……我の天下凍一の夢に近づく!!」 冬将軍はそう呟くと村に向かって斬撃を飛ばした。斬撃が村に当たると当たった場所から凍り始め、やがて村の全てが凍ってしまった。 「厄介な炎の力はなくなりました。全てが眠りにつく世界が作られるのも近いですね……」 「まぁさっきの赤ん坊も村と共に凍りついたはずですからねぇ」 「邪魔できるやつはいない」 寒鬼、冷鬼、凍鬼が順に話していく。 「ふん、もうこの村に用はない。者共行くぞ!!」 「「「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」」」 冬将軍の部下たちは冬将軍についていき、村には誰もいなくなった。 「行ったな……」 どうにか村のはずれまで移動した人影は冬将軍たちが行ったのを確認すると赤ん坊に目を移す。 「凍てつく力に対抗するには炎の力が必要だ……。この子が戦えるように、やつらを倒せるように鍛えなくては……」 そう言うと人影は赤ん坊を抱えたまま移動するのだった……
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