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00:暗イ夢
暗い。
寒い。
(冷たい)
闇だった。
誰のものかもわからない骸。ぬるりとした手触り。錆のにおい。
鳴り響く聞き覚えのない警報。心臓の鼓動に跳ね返るように、絶え間なく聞こえ続ける。
《警告》《リ……》《パラ》《……フ》《警コ……》
ここはどこだ。僕は誰だ。
見回す。
時折またたく閃光が、一瞬、闇を反転させてすべてを照らす。
転がる骸、骸、骸。かつて誰であったのかすらわからない、顔のない肉塊。
(これは僕の……)
お父さん? お母さん? 姉さん? 友達? 仲間?
わからない。もうわからない。
「誰だ……?」
振り返る。
強い光が闇を黒から白へと染め直し、たった一人、二本の足で立っている人影を周囲から切
り取ってみせた。
見たこともない、綺麗な服、 綺麗な 顔
赤 い。 目。
なに よ りも あ か い 。 め。
それと、青と 白 の 髪。
「――――――――」
そいつが笑った。
ちくしょうめ。
みんなこいつに殺された。
僕もこいつに殺される。
許さない。
絶対に許すもんか。
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