01:邂逅スル封印少女

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01:邂逅スル封印少女

 目覚めが快適だったことは一度もない。  大抵が寝汗におぼれ、自分のうめき声に起こされる。  悪夢は目覚ましとしては中の下だ。良い夢は目覚ましにはならないから下の下だが。 《おはようございます皆さん。エデンが朝をお知らせします。本日も健やかに過ごせますよう……》  室内スピーカーから響いた機械的な挨拶をきっかけに、ノオトは濁った目を狭い室内に一周させると、備え付けの寝台から身を起こした。  底の浅い皿にも似た楕円形状の寝台だ。寝台の身幅は両肩より少し広いほどで、寝返りを打つどころか、姿勢を入れ替えるにも不自由する。だが、〈エデン〉の住人は寝台で寝返りなど打たないから関係はない。  壁の配給口には、すでに朝食が届けられていた。  ブロック状のビスケット三種に、金属製のコップの水。三食同じ、決まった時間にダクトを
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