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「言ったろ? 食事は用意してるって。
家と食事を用意するのが、ゾンビの正しいプロポーズのやり方だって聞いたんだけど……」
ゾンビになってまだひと月。オレはまだまだゾンビのやり方には詳しくない。
だけど、早々に出会ってしまった。生涯の……いや死後の伴侶としたいゾンビと。
さらにダメ押しにと、ポケットに忍ばせていたプラチナリングを差し出す。
これが人間の風習なのは分かっているが、藁にもすがる思いなのだ。
「ナミ、結婚してくれ」
指輪を受け取り、ナミはくすりと笑った。
「わたしに出会えたんだから、死刑された甲斐もあったわね、連続殺人鬼さん」
そう言って彼女は、オレの首に残る索条痕を、やさしく撫でた。
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