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何で僕がこんな目に。
僕は涙目になりながら現在馬車に乗っていた。
本当は今すぐ逃走したかったのだけれど、魔力と身体の動きを封じるロープで体を縛られて動けないし逃げられない。
しかも監視であるらしい、見知らぬ黒フードで素顔を隠した銀髪の男が僕のすぐ隣りに座っている。
てだれの気配がする、強い人間特有の気配を感じて僕はこの状態では逃げられないとすぐに悟った。
だから涙目で僕は今は大人しく席に座っているのである。
でもこの展開はあまりにも酷いと思わざる負えない。
そう、どうしてこのような目に僕があっているのかというと、それは少し前の出来事だった。
「勇者の家系の中から、魔王に嫁を出すそうです。その候補にリーザ、貴方が選ばれたのです」
「ええ!」
魔族の国は魔王が実力で勝利をもぎ取る国である、その魔王の嫁ともなると魔王を倒せないまでも互角の戦いを繰り広げるものと決まっているらしく、その関係で……僕も選ばれてしまったらしい。
僕の剣術はじつは高いレベルだったのも証明されたのは良かったように思うけれど、
「ま、魔王って男じゃないですか!」
「ええ、そうよ」
「僕、女の子が好きなん です」 「……つべこべ言わず、行って来い。気に入られなければ嫁にならずにすむだろうし、嫌なら嫌われてくることね。他にも候補がいる……はずだし」
「! 今口ごもりましたよね母様!」
「つべこべいわずに行って来い!」
「ちょ 、そんなっ! って、うわぁああああ」
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