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というわけで僕は縄で縛られて魔王様へのプレゼント状態に。
もともと僕は何故か男に襲われることが多々あり、もしもその魅力をその魔王様に発してしまったら……と思うと、夜しか眠れない。
そもそも僕だって好きだなと淡い思いを抱いた少女がいるのだ。
昔会った銀髪に赤い瞳の可愛い“彼女”。
耳が尖っていたからエルフだったと思う。
子供の頃の約束が守られるとは思わないけれどでも、いつか、再び会えたならと思っていたのだ。
なのに見知らぬ魔王という男に、勇者の家系というだけで嫁にされそうになるなんて。
「こうなったら徹底的に嫌われるよう魔王をボコボコにしてやる」
そう暗く笑っていると、
「なるほど、この俺をボコボコにするのか」
「?」
僕のぼやきを聞いて楽しそうに笑うその黒ローブの男は、そこでフードをとった。
現れたのは銀髪に赤い瞳の、耳が尖っているからエルフだろう……僕が今までお目にかかったことのないような美形の男だった。
だが僕は何となくどこかでこの男に会ったことがある気がする。
何処でだろうと僕が頭を悩ませているとそこで、
「俺の名前は、レスター・ウインドランド。現在の魔王でお前の夫だ」
そう彼は、にこやかに僕に告げたのだった。
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