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重く暗い雲が広がり、今にも雨が降ってきそうな空。
空はまだ持ちこらえているけど、地上にいる両親の目からは幾つもの雫がこぼれ落ちている。
経を唱える声が、重く悲しい空気を助長させていく。
空の色に似た灰色な石碑。横の墓誌には祖父母の名の横に真新しく彫られた名前がある。
そこにあるのは、私の名前。
――今日は私を墓に納める、納骨の日。
私は死んだ。自殺だった。
小さな壺に収まった私が、墓の下にある小さく暗い部屋に納められていく。
母が泣き崩れ、父が声を押し殺し涙を流している。
その様子を私は皆の後ろから眺めていた。
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