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「椎名さん、これからはあかりって呼んでもいいかな?苗字のままだと堅苦しいよね」
「もちろんいいわ。私も結と呼ぶから」
空気を変えることに無事成功し、あかりにも結にも笑顔がよみがえる。それから夏休み中に遊ぶことを約束して別れることとなった。あかりは優斗のもとに行く途中だったらしい。それもとてもいいニュースである。
笑顔で手を振り別れた二人。結は遠ざかるあかりの背中をずっと見つめていた。その間、あかりの言葉が繰り返し頭の中でこだましていた。
(投げやりな……人生に執着していない……)
結からは自虐的な笑みがこぼれる。そしてぽつりと言葉が漏れ出る。
「私は、大きな罪を背負っているからだよ……」
その言葉はもちろんあかりには届かない。宙に舞うその独白は、自然と夏の空気に吸い込まれていく。そして結に、深く悲しい闇だけを残していったのだった。
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