始まりの鐘

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八王子駅のホームから出て少し歩いた道の先に一人の制服を着た少女が泣いていた。 少女が泣いているというのにそこを行き交う人々は誰も目もくれない。 スーツ姿の男性や女性達は仕事帰りで疲れているのか、足早にそれぞれの家へと帰宅していく。 その中に一人だけ、光って見える女性がいたのを泣いている少女は見つけた。 紺のニットに茶色のロングスカートを履いている。 髪型は茶色く染めており、ストレートで肩より長い。 そして何となくその女性の顔を見るとバチっと視線が合ったのだった。 女性は視線が合った事に気づくと、ゲッといわんばかりに顔をしかめた。 少女は縋るように女性に近寄る。 『ねぇ、あなた私が見えるんでしょ?お願い助けて。 誰も私の事、気付いてくれないの』 話しかけられた女性は少女をわざと無視する様に、少女を避けて通り過ぎる。 少女は女性の肩を掴んだ。 すると… 手が透ける。 『ねぇ、お願い…独りぼっちなの…。助け…てぇ。』 泣きじゃくる。 女性は突如立ち止まった。
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