0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ…。」
女性が立ち止まった辺りは人気が無かった。
夜の静寂の中静かに川の音が聞こえてくる。
「めんどくせぇ…。」
女性は低く呟いた。
『こら、そんな言い方良くないよ。紫乃。』
突如、女性の隣に和装の男性が現れる。
髪は黒く短めでサラサラだ。中性的な顔がとても印象的だった。
忽然と姿を見せたみたいでまるでマジックか何かのようだと少女は驚く。
『彼女は自分が死んだ事も良く分かってないみたいだし』
「そんなの、知らん。自分で勝手に死んでおいて助けてとかどんだけ甘ったれなんだよ。出来れば関わりたくない。」
『紫乃、よしなさい』
少年は優しく制した。少女の泣き腫らしてグチャグチャの顔を優しく微笑み覗き込む。
『私が見えるかい?』
『…うん。』
紫乃と呼ばれる女性は少女を冷たい目で見据える。
「アキ、ほーっとけばいいのよ。」
『紫乃…君はいつからそんな冷たい子になったんだい。』
紫乃と呼ばれる女性は鼻で笑う。
「生まれた時からよ。」
『紫乃…。』
最初のコメントを投稿しよう!