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少女は着物姿のお祖母様に手を引かれて光の中包まれて、消えていった。
「良い子だね。紫乃」
アキは優しく微笑み、紫乃の頭を撫でた
「優しくないわ…。」
世の中は…こんなにも無情な響きがある。
雪華…私は…
「一々霊の相手なんかしてたらキリがないわよ。
日本では若者の死因第1位は自殺。
自殺の理由にはイジメも多い。
一体何人成仏できずに彷徨っていることやら。」
力を使ったため、異様な眠気が襲う。
「そうだね……。
それでも少しの人でも、気づかせてあげる事が大事だと思う。
さて、仕事から帰って疲れた上に力を使って眠いだろう?
早く家に帰って寝ようか。
若者の自殺にこころを痛めてる君を私が抱いて慰めてあげるよ。」
紫乃は突然顔を赤らめ少女みたいな反応をする。
「な、何を言ってるのっ、アキは。寝てもどうせ、私は精神世界に仕事に行くから肉体を抱いてても仕方ないわよっ!」
反応が可愛いなぁとしみじみ思うアキ。
「ああ、そう捉えたんだね、うん。まぁ、いいや。そういうことにしとこうか」
家に到着し、御飯を食べて家事を済ませた後は寝巻きに着替えて布団に潜る。
「やっと寝れるわー、幸せー…って寝れないから離れてくれないかな?アキ。」
アキは紫乃の横で抱くように横たわっていた。
「何故?昔はこうやって泣いてる君を慰めてあげたのに。」
残念そうというよりは愉快そうに微笑むアキ。
「い、今は必要ないの!私はもう強いから大丈夫。」
アキがよいせと布団から離れ、代わりに紫乃が布団に横たわると、眠気が再び襲った。
ああ、あの頃の私、泣いてばかりだったな。
もう私、27歳、かあ。
あの子は中学生だったのかしら。
あの子の制服姿を見て己の高校の時を思い出だす
高校時代…
10年前……
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