夢と現

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此処は物質界にあるような物は一つも何も無い霊界だった。 1人の少女が役目を告げられ涙する。 禁じられた恋。 私の役目はあの世とこの世の仲介役。 現界でずっと孤独と向き合わなければならない。 人と深く関わる事を許されず、霊達とも関わり過ぎてはならない。 仲介役はあくまでも公平でいなければならず、どちらかに気持ちが偏ってはならない。 あくまで仲介役の私は中立を保たねばならない。 どちらか一方の世界の者が他方の世界に深く関わろうとし、この世の均衡を崩そうとするならばそれを制さなければならない。 均衡を崩そうとする者、即ち怨霊の封印を守り続ける。 そして私の持ち得た知識は誰にも話してはならない。 抱えて死ぬゆき、また霊界へと戻っていく。 それが私の運命。 幽閉されるかのように自分の中に籠り、この世とあの世の均衡を守る。 私は、一つ決め事を破ってしまう。 恋事は絶対にしないという決め事を…。 出逢ってしまった…。 魂が震えるほどの愛しい人を。 この衝動を… 罪を… 罰を… 私は受けねばならない。
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