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「そんなに多系統を扱えたわけじゃないけど、強い魔法使いだったんだよ。年季ってやつかな。きっと一芸を極めてたんだと思う」
「ああ、俺も魔法を学ぶことにするよ。よく分かってしまった。剣だけで十分だと思っていたが、いざという時に使えるものは多くないとダメだ」
郵便屋さんは、どこかへ行くのか踵を返してしまう。
「魔石を買ってくる。どこに売っているかな」
「大通りにいくらでもあるよ。安いのは、ピザ屋と肉屋の間にあるマリー道具店ってところかな。ご入用なの?」
魔石っていうのは、そのまま魔法を封じ込めた宝石のことだ。かなり値の張るものだけど、値段以上に高威力で命を救うこともある。何より、魔法を使えないものでも一度きりの魔法を行使できる。旅には持って行きたい道具だ。
郵便屋さんは、とても厳しい目をしていた。まるで門前での、店長たちの死闘を見通すかのように。
「巨大な液状の怪物らしい。剣では何もできない。……俺も、外を歩いている時に遭遇したら一巻の終わりだ」
そう言い残して、郵便屋さんはそよ風のように去っていってしまった。颯爽としていて王子様みたいだった。魔石を買えるなんて、結構なお金持ちだ。
――――程なくして、“埋葬士”がやって来た。
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