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「綾香。いきなり消えたりしないでよ。心配したんだからね?」
浦原が言った。
浅木、浦原、真衣ちゃん、その少し後ろにお父さんが立っている…。
「みんな何故ここにいるの?」
「浅木に聞いたんだよ。」
浦原が浅木を見ながら言った。
「優香…なんで…」
「昔ここに来ると落ち着くって言ってたじゃん?
居場所を奪われた今、来るのはここしかないと思ったから。」
浅木…そんな昔のことなのに、覚えてたの?
「綾香お姉さん。」
真衣ちゃんが私に問いかける。
「どうして、家を出る必要があるんですか?お姉さんの居場所は誰がなんと言おうとも、この家なんですよ?」
私は、あえて答えない。
今口を開けば、悪態をつくか、怒鳴り出すか…とにかく、取り返しのつかないことをやってしまいそうだから。
「綾香。何もかも背負い込むことないんだよ?」
浦原の声。
「少しは、私達に頼ってもいいんだよ。人は、一人じゃ生きていけないんだよ?」
浅木の声…。
だけど、私はそれら全てを無視した。
だけど………
「綾香。友達がこんなに必死に説得してくれているんだ。
バカな事をしていないで、早く帰ってきなさい。」
…………はい??
この一言で、私の中の何かが壊れた。
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