本当の家族

6/12

219人が本棚に入れています
本棚に追加
/378ページ
「何が違うんですか?」 あえて敬語。 「綾香を、"邪魔だ"なんて、思っていない。」 「何を言っているんですか?昨日言ったことを…忘れたとでも言うのですか?」 「忘れてはいない。 だがあれは、カッとしていて…」 「カッとした時ほど、本心が出るんですよ。 昨日のあなたは、それ程冷静だとは思えませんでしたけど。」 「…あぁ。一般的な理論だな。 だが父さんは違う。 それは、断じて本心ではない。 謝るから…戻ってこい。」 「…やはり、ダメですね。」 「…ダメ、だと?」 「はい。お母さんは、許しを請うことなんてしませんでした。 自分の過ちを認めて、その上での行動です。 でも、あなたは違う。 私は、あなたを父親とは認めませんから。」 冷たく、言い放った。 どうせこの人は、偽りの言葉を言っている。 だから… 「綾香…そんなに全部否定しなくてもいいんじゃない??」 浦原が、控えめに言う。 でも私の気持ちは揺るがない。 揺らいではいけないんだ…。 「綾香。」 あの人がいきなり話し出したから、少し驚いた。 「…父親だと認めてもらわなくてもいい。 だが、分かってほしい。 俺も、とても弱い人間だ…。」 …いきなり、何? 「紗耶香が死んで壊れたのは、母さんだけではなかった…」  
/378ページ

最初のコメントを投稿しよう!

219人が本棚に入れています
本棚に追加